タイのバンコクにリタイアメント移住した50代の夫婦です。バンコクに大きな不満がある訳ではありませんが、以下の理由からポルトガルのD7ビザを調べてみました。
①アジア以外でも比較的安い生活費の移住先
②ヨーロッパ諸国に気軽に旅行に行ける
③今はタイ(東南アジア)に移住しているので他の場所にも行ってみたい
結論から言うと、ポルトガルのD7ビザは
制度としては魅力的ですが、“軽い気持ちでの移住”には全く向いていないビザです。
今回は
①最新の制度と要件
②費用とリスク
③最大の壁である実務
④実際に移住している人の特徴
を中心に、自分が調べた内容をまとめます。
ポルトガルには当然、就労ビザや学生ビザもありますが、本記事はリタイアメントビザの内容になりますのでご注意ください。
注:ポルトガル移住を検討する中で、私自身がリタイアメントビザ(長期滞在ビザ)について情報収集を行いました。本記事では、その内容をまとめています。できる限り正確な情報を心がけていますが、誤りが含まれている可能性もあります。あくまで個人の調査に基づく内容として、ご参考程度にご覧ください。
① D7ビザの最新状況と要件(2026年)
リタイアメント移住するうえでビザは重要です。ビザがなければその国に長期間住むことは出来ません。
ポルトガルのD7ビザは、年金や配当などの「不労所得」がある人向けの長期滞在ビザです。
■ 主な条件
- 月収:約920ユーロ(約170,200円)以上
- 夫婦の場合:約1,380ユーロ(約255,300円)程度
- 預金:最低1年分(約11,000ユーロ以上約2,035,000円)
- ポルトガルの住所(賃貸契約など)
- 無犯罪証明
- 医療保険加入
- 年183日以上の滞在義務
👉ここだけ見ると
夫婦共働きで定年まで勤めあげ年金をもらえれば
何とかなりそうな数字に見えました
※1ユーロ=185円換算
■ 収入条件のリアル
私たちのケースで考えると👇
- 現時点:年金なし → 条件未達
- 将来(約6年後):年金受給予定
👉夫婦で約1,380ユーロ/月
私達夫婦は近々60歳になるので「年金の繰り上げ受給」を申請すれば夫婦で1,380ユーロ(255,300円)はギリギリのラインで為替の状況によってはクリアできないかもしれません
※1ユーロ=185円で計算しています
■ この金額の現実
- 年金60歳繰り上げ申請でギリギリ届く可能性はある
- ただし、とても余裕があるとは言えない
さらに👇
- 為替の影響(円安で悪化)
- 審査では安定性も重視
- 預金額も実質的に重要
👉つまり
“最低ライン”であって安心ラインではない
② ビザ取得にかかる費用とリスク
■ 公的費用
- ビザ申請:約100〜150ユーロ(18,500円~27,750円)
- 居住許可:約150〜200ユーロ(27,750円~37,000円)
👉ここだけなら安いです
■ 実際にかかる費用
私たち夫婦の場合(英語もポルトガル語も話せない)
- 代行費用:80万〜150万円
- 家賃+デポジット:30万〜80万円
- 渡航費など:10万〜20万円
👉合計
150万〜250万円規模
※英語やポルトガル語でのやり取りができれば代行費用は一気に下がります(30万円くらいのところも)。また、家賃+デポジットも場所によりけりですし、渡航費も航空会社によって違いますのであくまでも参考値です。
■ 最大のリスク
👉ビザが却下された場合
- 代行費用 → 基本戻らない
- 家賃 → 支払い義務が残る可能性
👉つまり
まとまった金額がそのまま消える可能性あり

③ 最大の壁は「書類と実務」
ここがD7ビザの本当の難しさです。
■ 必須手続き(かなり大変)
- NIF(納税番号)取得
- ポルトガル銀行口座開設
- 賃貸契約(住所確保)
- 各種証明書の翻訳・公証
■ 特に難しいポイント
● 銀行口座
- 非居住者は開設が難しい
- 現地対応が必要なケースあり
● 住所契約
- ビザ申請前に契約が必要
- 1年契約が基本
● 書類
- 翻訳・公証が多い
- 書式の不備でやり直しも多い
■ 日本語対応の現実
- 日本語対応の代理店 → ほぼ存在しない(あっても小規模・不透明)
- 個人の通訳依頼は当たり外れあり
👉結論
英語またはポルトガル語がある程度できないと、かなり厳しいと感じました。
日本語対応の代理店を探すのは一苦労で、個人で通訳を手配して対応するのも簡単ではありません。さらに、どちらも選択肢が限られているため、当たり外れのリスクも高いと思います。
④ 却下の場合、初期費用を失う
前述しましたが、これも大きなポイントです。
■ D7の現実
- 住居契約
- ビザ申請
- 許可
👉つまり
ビザなしで先に家を契約する必要がある
■ その結果
- ビザ却下
→ 申請費用(代行費用)と家賃だけ払う可能性
👉かなりリスクのある構造です
⑤ それでも人気がある理由と移住者の実態
ここが一番気になった部分です。
■ 実際に移住している人の特徴
● ① 英語ができる人
- 手続きを自力で進められる
- 現地対応が可能
👉最も現実的な層
● ② 資金に余裕がある人
- 代理店+弁護士に丸投げ
- 移住費用に数百万円投入
👉いわば
コストで突破するタイプ
● ③ 収入に余裕がある人
- 配当・不動産収入
- リモートワーク
👉審査にも余裕あり
■ 少ない層
👉私たちのように
- 語学なし
- 条件ギリギリ
- コスト抑えたい
👉この層は
かなり厳しい立場

⑥ 「軽い気持ちの移住」との相性
私たちのポルトガル移住の目的
- 生活費が比較的安い
- ヨーロッパ旅行の拠点
- 環境を変えてみたい
■ しかしD7は
- 年183日以上滞在必須
- 拠点固定型
- 手続きが非常に重い
👉つまり
“気軽に試す”スタイルとは真逆
■ 結論|D7ビザは「覚悟がある人向け」
今回調べて感じたのはこれです👇
👉制度はシンプル
👉しかし実務が非常に重い
そして👇
👉初期コストとリスクが大きすぎる
■ 私たちの判断
- 現時点 → 条件未達
- 将来 → ギリギリで不安
- 費用 → 150万〜250万円を失うリスク
👉結論
申請却下のリスクとかかる費用が全く見合わない
ポルトガルで“ビザラン長期滞在”は可能?
東南アジアなどで使われることの多い「ビザラン」。これをポルトガルでもと考えましたが、結論から言うと、
タイのような感覚でのビザラン長期滞在はかなり難しいです。
■ 理由は「シェンゲン協定」
ポルトガルはシェンゲン協定加盟国のため、日本人は
・「180日間のうち90日まで」
というルールで滞在できます。
これはポルトガルだけではなく、
・スペイン
・フランス
・イタリア
・ドイツ
など、シェンゲン加盟国すべてで合算されます。
■ タイのようなビザランは基本不可
私達のいるタイの場合、例えば
・90日滞在
↓
・一度隣国へ出国
↓
・すぐ再入国
これが可能ですが、ポルトガルではこれは出来ません。
■ 理論上は可能な方法
- ポルトガルに90日滞在
↓ - 非シェンゲン国へ90日滞在
(トルコ・ジョージア・アルバニアなど)
↓ - 再びシェンゲン圏へ
👉理論上は可能です。しかしこれは、「180日間のうち90日まで」ルール適用となり
90日間ポルトガル→非シェンゲン国へ90日間→ポルトガル再入国
を繰り返す方法になり正直かなり面倒です。
■ 注意点
この方法を何度も繰り返していると、
- 「実質的な居住では?」
- 「何をしているのか?」
と見られる可能性があります。
最近のヨーロッパは長期滞在者へのチェックが厳しくなっている印象です。
※補足
タイでもビザランを繰り返すことにはリスクがあります。しかし、ビザラン自体が禁止されているわけではなく、実際には年に数回程度であれば問題なく再入国しているケースがほとんどです。
一方、ポルトガルを含むシェンゲン圏では「180日間のうち90日まで」という制度上の制限があるため、90日滞在後に一度出国してすぐ再入国することで滞在期間を延長することは基本的にできません。
■ まとめ
- D7ビザは条件だけ見るといけそうに見える
- しかし実務(銀行・住所・書類)が最大の壁
- 初期費用が無駄になるリスクあり
- 移住者は「語学 or 資金」がある人が中心
- ビザランも難しい
■ 最後に
ポルトガル移住は魅力的ですが、
👉個人的な感想として、D7ビザは
「制度」ではなく「実務」で難易度が決まるビザだと感じました。
月収や預金、書類といった条件をクリアしていれば必ず許可されるわけではなく、移住理由の説明(いわゆる作文)なども含めて、最終的には審査官の総合判断になります。
そのため、人によって審査結果が分かれる可能性があり、
やはり資金面に余裕がある方のほうが有利なのではないか、という印象を受けました。
一方で、マレーシアのMM2Hやタイのリタイアメントビザは、
基本的に書類や条件を満たしていれば却下されることは基本ありません。
それに対してD7ビザは、条件を満たしていても申請が却下される可能性がある点が、厳しいところだと感じました。
結論
向いている人
・資金に余裕がある
・語学(英語やポルトガル語)がある程度できる
・ポルトガル移住に対して強い意志がある
向いていない人
・軽い気持ちで検討している
・条件がギリギリの人
私たち夫婦は現在収入がなく、将来的に年金を受給するようになったとしても、D7ビザの収入条件は決して余裕があるとは言えません。
私自身はポルトガルに行ったことはありませんが、旅行した人に聞くと美しい街並みや穏やかな気候、治安も良く人々も親切で非常に魅力的な国と聞きました。
ですが、リタイアメント移住について実際に調べてみると、D7ビザは単純に条件を満たせば許可されるものではなく、資金面や実務面も含めて総合的に判断されるビザだと感じました。
そのため、仮に将来年金受給後に申請したとしても、必ず許可されるとは言い切れず、私たちのように「条件がギリギリ」「語学面に不安がある」というケースでは、あまり相性の良い移住先ではないのかもしれません。
さらにポルトガルは
・インフラ、教育、医療、行政はうんざりするほどレベルが低い
・物価も高くなってきて昔ほど安くない
・差別もある
という意見もありました。
今回いろいろと調べてみて、改めて海外移住は「その国が魅力的かどうか」だけではなく、移住に必要なビザが取得できるか、自分たちの状況やライフスタイルに合っているかが非常に重要なのだと感じました。
これから検討する方の参考になれば幸いです。
注意事項
本記事の内容は2026年7月時点で私個人が調べた情報をもとにしています。体験談ではありませんのでご注意ください。
また、制度は変更される可能性があるため、実際に申請を検討される場合は、必ず公式情報や代行業者にて最新情報をご確認ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。各国のビザの詳細や比較記事は以下のとおりです。ご興味があればご覧ください。
マレーシアのMM2H
ベトナムの長期滞在ビザ
フィリピンのSRRV
インドネシアのRetirement KITAS
タイのビザ関連は古い記事ですが以下のとおりです
最初の3か月間のビザ申請の「手続き編」
最初の3か月間のビザ申請の「申請編」
私達夫婦は現在タイのバンコクに移住しています。移住の様子をブログにしていますのでよろしければご覧ください。
シンヒロのブログ | ~リタイアメントしてタイ移住をしています~


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