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タイ移住後の生活から考えてみた|頑張る国と頑張りすぎない国

タイでの生活

『パレートの誤算』から考えたこと

以前、柚月裕子さんの社会派小説『パレートの誤算』を読みました。この作品は生活保護をテーマに、不正受給や貧困ビジネスといった社会の闇、そして福祉制度の複雑な問題を題材にしています。読んでいると、仕事や組織、人間の持つ不公平感といったテーマが随所に感じられ、考えさせられる一冊でした。

その中で印象に残った言葉のひとつが「パレートの法則」です。今回は、この法則と、こから派生したとされる「働きアリの法則」について、自分なりに調べて少し整理してみようと思ったのが、この記事を書くきっかけです。


パレートの法則とは何か

パレートの法則は、「80:20の法則」「ばらつきの法則」とも呼ばれています。イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが、19世紀末に所得分布を研究する中で発見した経験則です。

代表的な例として、次のようなものがよく挙げられます。

  • 組織では、全体の約2割の人間が成果や利益の大部分を生み出している
  • 商品の売上の約8割は、全商品のうち上位2割によって構成されている
  • 全所得の8割は、人口の2割の富裕層が保有している

ここで重要なのは、パレートの法則は厳密な自然法則ではないという点です。多くの現象を観察すると、そのような偏りが「傾向として」現れるため、統計学的には「経験則(エンピリカル・ルール)」として扱われているようです。

つまり、「必ず80:20になる」という話ではなく、「なぜか結果は偏りやすい」という現象を説明するための考え方のようです。


働きアリの法則という考え方

パレートの法則の亜種として、よく語られるのが「働きアリの法則」です。こちらは80:20ではなく、2:6:2という比率で説明されることが多い法則です。

  • よく働くアリ:2割
  • 普通に働くアリ:6割
  • ほとんど働かないアリ:2割

興味深いのは、この割合が固定されている点です。よく働くアリだけを集めて新しい集団を作っても、しばらくすると一部が働かなくなり、結局また2:6:2に分かれると言われています。逆に、よく働く2割のアリを取り除いても、残った集団の中から新たに「よく働くアリ」が現れ、同じ割合に落ち着くそうです。

ただし、この働きアリの法則は、パレートの法則ほど学術的に確立された理論ではありません。実験や観察結果をもとにした行動生態学的な仮説や傾向として紹介されることが多く、「そういう現象が見られる」というレベルの話だと理解しておくのが適切だと思います。


人間の組織にも当てはまるのか

こうした話を聞くと、「これは人間社会にも当てはまるのではないか」と考えてしまいます。

実際、金満球団やビッグクラブが優秀な選手を集めたにもかかわらず、必ずしも優勝できないケースは珍しくありません。また、「投資の神様」と呼ばれるような人物を集めたドリームチームが、結果的に失敗したという話も耳にします。

理屈で考えれば、優秀な人材を集めれば成功しそうなものです。それでもうまくいかない現実を見ると、「そんな馬鹿な」と思う一方で、どこか納得してしまう自分もいます。

人間の組織は、能力だけでなく、役割分担、評価制度、文化、リーダーシップなど、さまざまな要素が絡み合っています。生物の法則がそのまま当てはまるとは限りませんが、「成果が一部に偏りやすい」という構造自体は、確かに共通しているようにも感じます。


「最強の巣」が崩壊する理由

働きアリの法則で、さらに興味深いのが「よく働くアリだけで構成された巣は、かえって崩壊しやすい」という話です。

よく働くアリばかりの集団では、普段から全精力を使って働いているため、余力がありません。その結果、外敵の襲来や環境の急変といった緊急事態に対応できず、巣全体が危機に陥ることがあるそうです。

一方、2:6:2に分かれた集団では、普段はあまり働いていない2割のアリが、非常時に動き出し、有事を乗り切る役割を果たすとされています。この「働いていないように見える存在」が、実は調整役や予備戦力として機能している、という考え方は非常に興味深いです。


成果の偏りをどう受け止めるか

パレートの法則も、働きアリの法則も、「不公平だから良くない」という話ではありません。むしろ、生き物や社会が持続するための自然な構造なのだと考えると、少し見え方が変わってきます。

全員が常に全力で走り続ける組織や人生は、長続きしないような気がします。成果に偏りがあること、余力を持つ存在がいること、それ自体が危機管理(リスクヘッジ)になっているのかもしれません。

2:6:2に分かれるのは、本能なのか、構造なのか。その答えは簡単ではありませんが、「頑張りすぎないことも戦略のひとつ」という視点を与えてくれる点で考えさせられました。


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50代・タイ移住者として思うこと

正解は何?

ここからは、少し個人的な話になります。50代でタイに移住し、日本とは違う環境で生活していると、「頑張ること」が必ずしも正解ではないと感じる場面が増えました。

日本にいた頃は、効率や成果、努力量が重視されがちでした。しかし、タイではどこか「余白」や「無駄」に見える時間が当たり前のように存在します。最初は戸惑いましたが、長く暮らすうちに、その余白こそが生活や人間関係の安定につながっているのではないかと思うようになりました。

働きアリの法則で言えば、「今は働いていないように見える2割」があるからこそ、全体が長く持続する。これは、年齢を重ねたからこそ腑に落ちる考え方かもしれません。

日本とタイ

個人的な印象ですが、タイで暮らしていると、仕事に対して日本ほど「全力投球していない」人が多いように感じます(感じると柔らかな表現をしましたが確実だと思います)。勤務時間中でもスマホを触っていたり、力を抜いて働いていたりする光景は珍しくありません。その分、仕事上の人間関係がギスギスしにくく、神経をすり減らす場面が少ないのかなと感じます。

一方で、当然ながら仕事やサービスの質は日本と比べると落ちる場面もあり、不快に感じることがないわけではありません。ただ、こちらではそれを深刻に受け止める人が少なく、全体的に空気が柔らかいのも確かです。

「仕事やサービスはきっちりしていて快適だが、ストレスの多い日本」と、「仕事もサービスも大らかで不便なことはあるが、働くストレスは少なく穏やかなタイ」。どちらが良いかは人それぞれでしょう。こうした気質の違いを見ていると、経済面でタイが日本に追いつくことはないのかもしれませんが、その代わりに守られているものも確かにあるように思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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シンヒロのブログ | ~リタイヤメントしてタイ移住をしています~
海外移住(タイ)をしています。ブログの超初心者ですが、勉強しながら発信していきたいです。

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